完全デジタル化でCATVの新規加入増


米国の地上波テレビ放送は去る6月12日に完全デジタル化されたが、ケーブルテレビ(CATV)事業者などの再送信サービスが、その恩恵を蒙っているようだ。米大手金融機関ウェルズ・ファーゴの調べによると、今年1-3月期、アナログ停波でテレビが見られなくなることを恐れた世帯の中で、CATVや衛星放送の再送信サービスに加入した世帯は65万3000件に上った。ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マーシー・リビッカ氏によると、再送信サービスへの加入世帯数は4-6月には停滞するものの、7-9月期には再び大幅な伸びを示す可能性があるという。


同調査によれば、新規加入者の内訳は、CATVが47万5000世帯、衛星放送が13万7000世帯。また電話会社が展開しているIPテレビへの加入者は4万1000軒だった。

一方、全国のUHFテレビ局を束ねているミニ・ネットワークテレビ「Ionメディア・ネットワークス」はこのほど、デジタル放送を活用し、HD(高精細度)テレビ放送、マルチ・チャンネル、携帯端末向けモバイルテレビを一括提供するトリプルプレー・サービスを展開すると発表した。CATVや電話会社が、音声・映像・ブロードバンドを一括提供するサービス「トリプルプレー」をもじったもの。同社では、全国に先駆けてニューヨークと首都ワシントンにある直営局から同サービスを始めたいとしている。

Ionメディアの視聴可能世帯は9600万軒。同ネットワークのブランドン・バーゲス会長は、トリプルプレーの中でもモバイルテレビに大きな期待を寄せている模様。「デジタル放送によって、モバイルテレビが可能になった。テレビ局に、家庭外でもテレビ番組を提供できる好機が訪れた」と抱負を語っている。

ちなみに、Ionメディアは今年5月、日本の民事再生法に相当する破産法11条を申請したばかり。