完全デジタル化周知CMが初登場

米国地上波テレビの完全デジタル化に関する周知活動は日本に比べかなり遅れている感があるが、視聴者向けの本格的なキャンペーンを開始するテレビ局が現れた。スペイン語専門局最大手「ユニビジョン」は10月1日、「2009年2月17日をもってアナログ波が停止され完全デジタル化に移行することを周知させるための公共広告(PA)の放送を始める」と発表した。

地上波ネットワークとしては初名乗り。同ネットワークの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるジョー・ウヴァ氏は、「デジタル化がヒスパニック系市民に与える影響は極めて大きい。テレビ視聴方法がどのように変わるのかなど、ヒスパニック系市民の間に十分な情報がいきわたるようにしたい」と語っている。

ユニビジョンでは「新しい時代:デジタル・テレビジョン」と題したPAを30秒CMの形で放送するほか、同局が運営するラジオ局やホームページなどを使ってデジタル化への備えを訴えるほか、ホットラインを設置して生活者からの疑問などに応えるという。

全米放送事業者協会(NAB)の調査(2005年)によると、全米人口の約13%を占め、米国最大のマイノリティーとなっているヒスパニック系市民(スペイン語系アメリカ人)世帯の28%が直接受信世帯となっており、「市民教育を怠れば消費者にとって“テレビが見られなくなる大惨事”になることは間違いない」(ヒスパニック系市民団体)などと懸念の声が広がっていた。

ユニビジョンのライバル局「テレムンド」も今月中には同様なPAを放送するとしているほか、地上波ネットワークのほとんどが11月から同様なキャンペーンを開始する予定。米国では完全デジタル化を知らない人が全体の三分の二(米調査会社レイクマン)にも上るという。