広告効果では既存メディアに軍配


モバイル端末やビデオ・ゲーム、さらにはHDD内蔵型のレコーダー(DVR)などは、既存メディアを脅かす新興メディアとして位置づけられている。その振興メディアに視聴者や読者を奪われ広告収入の減収につながるというのが既存メディア側の懸念だが、新製品や商品の広告効果では既存メディアが圧倒的に勝るという調査結果が出た。

世界の広告大手WPPグループ傘下のメディア調査会社「キャンター・メディア・リサーチ」によると、米生活者が宣伝効果を発揮する媒体の筆頭に挙げたのがテレビ。全体の43%が「新製品の登場などはテレビ(CM)で知る」と応えた。テレビ以外では、雑誌(31%)、新聞(29%)、ラジオ(24%)などと続き、既存メディアの優位性が明確に示された格好だ。これに対し、新興メディアから新製品や商品を知ると応えた人はわずか2~5%に留まった。

ブランドへの信頼性を得る手段としても、テレビが26%を獲得しトップ。新聞21%、雑誌が19%と続いた。同調査は、既存メディアの優位性について、「到達する視聴者数や読者数が極めて大きいためインパクトも絶大。ブランド名の広報には既存メディアの利用が必須なことが明白になった」と結論付けている。

新興メディアについては、既存メディアで展開するPR活動をフォローするなど補完的な媒体としては有効なものの、新興メディアのみを使った宣伝には限界があるとしている。

一方、コンサルティング会社大手「デロイト」がこのほど明らかにした別の調査結果でも、テレビが新興メディア利用者の間で中心的役割を果たしていることが明らかになった。同調査によると、普段はインターネットや携帯電話でやりとりするテキスト・メッセージなどに没頭する若者の52%がインターネット利用の主な目的として「テレビ局のホームページにアクセスすること」と応えたという。