広告媒体の王者は新聞からテレビへ

米広告媒体にとって今年は歴史に残る異変が起こりそうだ。日本では4大媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)のうち、テレビ広告(CM)費が新聞広告費を上回っているが、米国では18世紀以来(メディアウィーク誌)、新聞広告費が他媒体を押さえ常にトップの座を守り続けている。ところが、メディア業界を専門とする米投資会社「ベロニス・シュラー・スティーブンソン(VSS)」によると、今年、テレビが新聞を追い抜きそうな気配で、米国の広告環境に地殻変動を起こすことになりそうだ。

VSSによれば、昨年新聞業界が獲得した広告費は515億㌦(約5兆6,650億円)だったのに対し、地上波テレビは480億㌦(約5兆2,800億円)。今年は五輪や大統領選挙があることも手伝ってテレビが510億㌦(約5兆6,100億円)と新聞の468億㌦(約5兆1,480億円)を上回り、広告媒体ナンバーワンの座を手にすることになるという。

ところがテレビ業界もうかうかしてはいられない。同社の予測によると、テレビが王座に就ける期間は短期間。2012年にはインターネットに追い抜かれてしまうという。同社の試算では、テレビの2007~2012年における年複利成長率(CAGR)は2.6%なのに対し、インターネットは18.9%と急成長を遂げる。一方、新聞は2.8%のマイナス成長となる。

2012年における3媒体の勢力図は、インターネットの広告費が598億㌦(約6兆5,780億円)。地上波テレビの512億㌦(約5兆6,320億円)、新聞の437億㌦(約4兆8,070億円)を押さえトップに躍り出る(VSS)。ただ、テレビや新聞もインターネット・サイトの充実を図っており、ネット広告躍進から少なからぬ恩恵を受けることになりそうだ。