意外に多い動画CM容認派


米国ではインターネット上で配信されるテレビ番組に挿入されるCMは、1時間番組 の場合、15~30秒のものが数回放送される程度が主流。12~14分間に及ぶCMが挿入される放送版に比べ、極端に短くなっている。オンライン・ビデオ 視聴者は“CM嫌いな”若者で占められており、CMの数が少ないほど好感をもって受け入れられる、というのが理由だ。ところが、そんな業界の常識を破るよ うな調査結果がこのほど発表された。


米メディア複合企業大手タイムワーナー傘下のケーブル局を束ねるターナー・ブロードキャスティングによれば、オンライン配信される番組に挿入されるCMが 少なかろうと多かろうと番組視聴時間そのものにあまり影響しないことが分かった。ターナーが米調査会社マグナ・グローバル社と合同で行った調査によれば、 1分間のCMが挿入された30分間のコメディー番組は全編の40%が見られたのに対し、16分にわたるCMが挿入された場合でも37%と、大きな差がない ことが判明した。1時間番組の場合は、15秒CMを1分間挿入した場合、全編を見つづけた人が59%、20分間挿入した場合は49%だった。


調査ではターナー傘下のケーブル局TBSの人気コメディー「Meet the Browns」(30分番組)(写真)とTNTの刑事ドラマ「Memphis Beat」(1時間番組)に、それぞれ1分間、8~10分間、16~20分間のCMが挿入された3つのパターンの番組が用意され任意に選ばれた視聴者にモ ニターしてもらった。


また、同調査の結果、オンライン・ビデオに挿入されたCMを覚えている時間が放送版のものよりも長いことも明らかになった。「番組がオンライン上で無料で 見られるのならCMは気にしない」と考える人が圧倒的に多いことも分かり、これまでインターネット配信には消極的だったケーブル局を勇気づける結果となっ た。ターナーでは、特定のケーブルテレビ(CATV)事業者の加入者に限りインターネット上で同社の番組が見られる間接的な有料動画配信サービス「TV Everywhere」の展開を検討中だが、番組には出来る限り多くのCMを挿入したいと考えている。