意外に多い動画CM挿入容認派


 米国で人気上昇中のインターネット上の動画視聴者の間でCM挿入を容認する利用者が意外に多いことが明らかになった。米国ではネットワークテレビのプライムタイム番組などがインターネット上で手軽に視聴できることから、”オンラインビデオ視聴“が若者を中心に急速に普及している。視聴は無料で、番組配信中に挿入されるCM収入で運営費をまかなっているサイトが大半だ。ただ、挿入されるCMの数は極端に少なく、それぞれのCMも短縮バージョンが挿入されるのが通常だ。「CM時間が多ければ若者に嫌われる」とする業界内の通説に基づくものだが、そんな常識を覆す調査結果が出た。


米調査会社「コムスコア」がこのほどニューヨーク市内で開催されたメディア会合で発表した調査結果によると、「Hulu(フールー)」など人気動画配信サイトで放送されるテレビ番組の1時間版には約4分程度のCMが挿入されるのが通常の例だが、利用者の多くが「6~7分程度に拡大されても構わない」と考えていることが明らかになった。


今回のニュースは、有料コンテンツを限定し、基本的には運営を広告収入で賄いたいとする動画配信サイトにとって朗報となる可能性がありそうだ。絶大な人気を誇るフールーは、人気上昇カーブとは裏腹に、広告収入が伸び悩んでおり、共同出資者(ウォルトディズニー、NBCユニバーサル、ニューズ・コーポレーション)から有料化を迫られていて、圧倒的に無料型を支持するユーザーとの間にジレンマに立たされているのが現状だ。


ところで、コムスコアの調査結果によると、ケーブルテレビ(CATV)など番組送信サービスに加入せず「テレビ番組はインターネット上のみで視聴する」と答えた人は全体のわずか6%に留まっていることが判明した。また、29%の人が、番組によってはケース・バイ・ケースでオンライン視聴とテレビ視聴を使い分けていると答えている。また、利用理由について一番多かったのが、「見逃し視聴に便利」で、全体の71%だった。