携帯電話向け番組配信方式が正式決定


米国内における地上波デジタル帯域を使った携帯電話向けの番組配信方式が10月中旬、正式に決まった。米高水準テレビシステム委員会(ATSC)が発表したもので、テレビ局、伝送会社、全米家電協会(CEA)などの全面支持を集めた。新方式はA/153あるいはATSC-M/H(ATSCモバイル/ハンドヘルド)と名付けられた。


方式の開発は2007年5月にスタートしたが、わずか2年強という短期間で採択された。全米800のローカル局が参加した同盟組織オープン・モバイル・ビデオ・コーリション(OMVC)とATSCとの緊密な連携プレーのおかげ(業界誌ブロードキャスティング&ケーブル)と高く評価されている。


地上波テレビ放送の完全デジタル化によって国に返還されたアナログ波をオークションでライセンス取得した通信会社などによる動きも刺激となったようだ。OMVCからライバル視されている米無線通信技術大手クアルコムは、携帯電話向けテレビ配信サービス「フローTV(旧メディアフロー)」の展開に着手しているが、携帯電話大手なども市場参入することは確実で、OMVCにとって、これ以上の遅れをとることは許されない状況にあったといえる。


CEAのゲリー・シャピロ会長は、「A/153が正式に採択されたことで、チップ・メーカーや携帯電話メーカーが本格的な製造体制に入ることができる」と、歓迎の声明を発表。専用受信機は2010年に販売される見通しを示した。


全米放送事業者協会(NAB)も、「携帯端末向けテレビ配信が本格化することで、ローカル局やネットワークテレビ番組が屋外でも手軽に見られるようになる。放送業界にとって画期的な出来事だ」賞賛している。米国ではすでに30のローカル局がモバイル向け番組配信を始めているが、来年初頭には70局に増えるという。