新聞社電子版、利用数上昇も増収に結びつかず

米調査会社ニールセン・ネットビューはこのほど、米新聞社のホームページの利用状況に関する調査結果を明らかにした。それによると、今年6月、新聞各社が提供するサイトへのユニーク・ビジター数は7000万件を超過。一人当たりの平均閲覧時間は38.5分を記録するなど大幅な拡大を示した。


アメリカ新聞協会(NAA)のジョン・スターム会長はこの結果について、「新聞各社がオンライン版の拡充を図り相当な投資をした結果だ」と語っている。スターム会長によれば、新聞社のホームページにアクセスする消費者は広告主がターゲットにしている重要な消費者層。「購買力の高い消費者の獲得を狙っている広告主にとって新聞社のブランド力を改めて実感したはずだ」と強調している。しかし、新聞社にとって悩みは、電子版の人気が増収につながらないこと。NAAによれば、今年1-3月期の電子版の広告売上は前年同期比13.4%の落ち込みを見せた。


一方、NAAと調査会社MORIリサーチ社との共同調査では、「広告を見る媒体」として「新聞」を挙げた人が全体の41%と、インターネット21%、テレビ8%などを押さえて断トツにランクされた。新聞広告に対する信頼度も高く、ニールセンの調査によれば、成人の三分の二が「新聞に掲載される広告を信頼している」と答えたという。本紙についても信頼感が増収につながっていないことが悩みの種。


コロンビア・ジャーナリズム・レビュー誌によれば、日刊紙の2008年における広告売上は、前年比16.7%減となる378億㌦(約3兆5900億円)。今年の売上はさらに悪くなる見込みで、昨年比17.3%減、316億㌦(約3兆円)と、1965年当時の売上水準にまで落ち込むと推定している。