来シーズンCM売り上げ不調か


米テレビ界は地上波ネットワークを皮切りに、5月12日から新シーズンのプライムタイム番組編成発表とCM枠の予約販売を行うUpfront(アップフロント)に突入する。その重要イベントを目前に、ウォールストリートの著名アナリストが悲観的な見通しを発表した。米大手証券会社メリルリンチのメディア・アナリスト、ジェシカ・リーフ・コーエン氏は、今年のアップフロントの売り上げは昨年比2~14%減少すると予測している。

五輪開催や大統領選挙がある年に、アップフロント売り上げが減少するのは異例。昨年暮れから100日間に及んだ脚本家組合(WGA)のストライキや減速気味の米経済がテレビ界の新シーズンに大きな影を落とすことになりそうだ。WGAのストライキは、番組制作や新シーズン向けのパイロット版制作を大幅に遅らせ、各ネットワークの番組在庫は品切れ状態。経済状況も合わせ、広告主がCM出稿に慎重になっている所以だ。

コーエン氏は、アップフロント市場が上げ相場になった場合でも売り上げは昨年比2%減、下げ相場になった場合は14%減になると予測している。上げ相場の場合は、地上波テレビのプライムタイム(米東部時間午後8~11時)の売り上げが87億9000万㌦(9142億円)、全日の売り上げは110億5000万㌦(1兆1500億円)になるとしている。また、下げ相場になった場合は、プライムタイムが77億3000万㌦(8030億円)、全日は98億8000万㌦(約1兆275億円)に落ち込むという。

ネットワーク別で見ると、上げ相場の場合、Foxのアップフロント売り上げが昨年比2%増となるが、増加するのは4大ネットワーク中Foxのみ。同社のプライムタイム(Foxのみが米東部時間午後8~10時)売り上げは、18億5000万㌦(約1924億円)になると推定している。ちなみに、ABCは昨年比2%減となるが、23億5000万㌦と売上高ではトップ。CBSが3%減22億㌦で2位。かつてはプライムタイムの王者の座を欲しいままにしていたNBCは1%減17億8000万㌦とFoxに抜かれることになりそうだ。下げ相場になった場合は昨シーズンの売り上げを上回る社はないと予想している。