東日本大震災がハリウッドにも影響


東日本大震災の影響がハリウッドにも及んでいる。クリント・イーストウッド監督の作品で2004年にタイを襲った大津波を題材にした映画「ヒアアフター」の日本封切が地震発生直後にキャンセルされたほか、ソニー・ピクチャーズが41日に日本での公開を予定していたSF映画「地球最後の砦(邦題)」が急遽封切りを取りやめた。都市が破壊されるシーンが多く登場する、などの理由からだ。ハリウッド映画界にとって日本は海外市場売上の10%を占める重要な市場。2010年のチケット売上は25億㌦に達している。ビジネス再開の時期について業界誌ハリウッド・レポーターは、「今回の災害は未曾有の大災害。この先全く見通しが立たないのが現状だ」とするハリウッド関係者の声を紹介している。

 

そして、IT業界にも影響が出ている。米アップル社が丁度大震災が起こった311日に米国で発売した人気タブレット(多機能携帯端末)の新型、iPad(アイパッド)2は、325日に日本でも発売される予定だったが、これを見合わせる決定を下した。同社の日本人従業員を、災害復興関連作業に専念させたいとの配慮からだ。そして、アイパッドの製造にも少なからぬ影響が出そうだ。発売直後の週末だけで100万台も売れる人気を博しているアイパッド2のタッチパネルやメモリー・チップ、さらにはバッテリーなどは日本企業が製造しており、震災の影響でこれらの部品の出荷が遅れる可能性が出てきている。

 

また、ハリウッドを中心とした映画やテレビ番組の制作現場では日本製の録画テープや記録メディアなどが品不足になることが心配されている。ハリウッドでは価格が高騰し続けるフィルムに変わって、ビデオカメラをつかった映画撮影が普及し始めているが、ソニー製のHDカメラが主流。同カメラに使われる録画テープを製造するソニーの工場が仙台にあり今回の災害でダメージを受けているからだ。品不足がすすめば、映画ばかりでなく、プライムタイム番組の制作現場にも「深刻な打撃を与える」(ブロードキャスティング&ケーブル誌)ことは必至な状況だ。 <NY北清>