次世代DVD普及の決め手はポルノ?


ハイビジョン映像が録画できる次世代DVDはソニーなどが提唱するブルーレイ・ディスク(BD) と東芝などのHD-DVDの2規格が熾烈な顧客争奪合戦を繰り広げている。1人でも多くの消費者に購入してもらい、市場をいち早く支配した陣営が主導権を握ることになるが、ウォールストリート・ジャーナリ紙はこのほど、次世代DVD普及の鍵は成人向け娯楽企業が握る可能性があると報じた。

同紙によると、ブルーレイ陣営が企業イメージなどを理由に、DVD製造企業にアダルト・エンタテイメント業界からのコンテンツを受け付けないよう呼びかけている模様。ドイツのアダルト系制作会社デジタル・プレイグラウンド社があるDVDメーカーに、「ソニーの意向で成人向けコンテンツの制作は困難だ」と断られたとするエピソードを紹介している。業界ではソニー傘下のDVD製造会社Sony DADCがアダルト・コンテンツを複製しない方針を用いていることは広く知られているが、ソニー側はドイツの出来事を事実に反するものと否定している。

業界内にはHD-DVD陣営がアダルト系を受け入れれば、普及率で優位に立つ可能性があるとの見方もある一方で、成人向けコンテンツによって次世代DVD販売が影響を受けることはないとの見方もある。アダルト・コンテンツは、インターネット上でダウンロードできるサイトが無数にあるというのが理由のようだ。

ところで、ポルノ映画をハイビジョン制作する必然性があるか否かをめぐり、業界内で賛否両論が戦わされている模様だ。1月22日付のニューヨークタイムズ紙によると、俳優たちは、「どんな映像であろうともファンは真に迫る描写を求めるもの」とHD制作に賛同するものから、「整形手術を強いられることになる」などする反対派まで意見はまちまちのようだ。

ちなみに、昨年米国でDVD用向けに製作されたアダルト映画は約7,000タイトル。売り上げは36億㌦(約4,320億円)規模。次世代DVD向け制作もすでに本格稼動しているという。