武器はローカルニュース


米国でテレビ番組の再送信サービスといえば、長年に渡りケーブルテレビ(CATV)の独壇場だった。ところが、衛星放送の参入に加え、最近は電話会社がIP方式を利用した番組再送信サービスを展開、各事業者の間で加入者の争奪合戦が繰り広げられている。そして、各事業者のサービスの目玉商品としてローカルニュース・チャンネルが脚光を浴びている。


そんな中、米電話会社大手ベライゾンは、このほどニューヨーカー向けに独自のローカルニュース局を今年中に立ち上げることを発表した。同社のデジタル・メディア担当副社長、ジョン・ハロビン氏はウォールストリート・ジャーナル紙に、「視聴者に最も人気のあるコンテンツは、コミュニティー・ニュース、天気予報、交通情報など地域内の詳しい情報だ」と強調。新規契約者を獲得するためにはこうした情報チャンネルを提供することが不可欠だとの見方を示している。ニューヨーク地域のライバル、タイムワーナー・ケーブルやケーブルビジョンが、それぞれ住民に密接したローカル情報を流すニュース・チャンネルでがっちり加入者の心をつかんでいることに着眼した模様だ。タイムワーナー・ケーブルは、「NY1」を、ケーブルビジョンでは「News12」といったコミュニティー密接型のニュース・チャンネルをベーシック・サービスに組み込んでいる。

米調査会社ケルシー・グループのアナリスト、ネール・ポラチェック氏も、「視聴者は自分が住むコミュニティーに関するニュースには極めて敏感。加入者を引き止めたいのならそのニーズに応えるのが早道」と述べ、ローカル・ニュース局の提供が再送信サービス事業者にとって必須のものであることを強調している。