活況を呈する保守派ニュース局


オバマ米大統領は3月24日、ホワイトハウスで就任以来2度目となる公式記者会見を開いた。その模様はネットワークテレビやケーブル局などを通じて全国向けに生中継された。ニールセン社の速報によれば視聴者総数は第1回目の4950万人には及ばなかったものの、4035万人が視聴。「今、テレビ界にとって一番ホットなスター」(CNNテレビ)ぶりを印象付けた。

そんなオバマ人気の中で、保守的報道を看板に掲げるFoxニュース・チャンネル(FNC)が活況を呈している。FNCはメディア企業ニューズ・コーポレーション傘下の24時間ニュース専門局。ブッシュ前大統領政権下でニュース専門局中ナンバーワンの地位を確立したが、オバマ大統領誕生後にその人気に陰りが生じると見られていた。FNCの編成担当上級副社長、ビル・シャイン氏も公共ラジオ放送NPRとのインタビューで、「昨年秋の大統領選後、FNCの終焉を唱える声が多かった」と述べ、視聴率低下を覚悟していたことを認めている。ところが、このほどFNCの視聴率がむしろ上昇していることが明らかになった。

ニールセンによれば、FNCが全ベーシック・チャンネル中、頻繁にトップにランクされるほどの人気ぶりだ。NPRによれば、人気の秘訣は、その徹底した編成にあるようだ。保守的な論客ビル・オライリー氏がホスト役を務めるトーク番組をはじめ、プライムタイム枠すべてを保守色の強い番組で編成し、「オバマ政権に懐疑的な見方や意見を持つ人々のためのチャンネル」づくりをしている。左派よりの雑誌「Nation(ネーション)」の発行人ビクター・ナバスキー氏は、2003年のイラク戦争時に同誌の販売数が倍増したことを例に挙げ、「反政府を掲げる意見を求める動きは常にあるものだ」と説明している。一方、昨年選挙戦当事からオバマ支持を鮮明に打ち出していたMSNBCも視聴率が上がっているが、FNCに対抗できるまでにはなっておらず、中立的なCNNは伸び悩み状態。