消費者に背を向けられた3DテレビとネットTV


 米年末商戦における3D(3次元立体)テレビとテレビとパソコンを融合させたイ ンターネット・テレビの売上が期待はずれに終わりそうだ。ロイター通信は、「3Dテレビとインターネット・テレビは米消費者から無視されたようなもの。両 製品の売上をてこに業績の回復を狙っていた業界の期待を裏切るものだ」などと報じている。次世代テレビとして家電メーカーの期待を一身に背負った両製品 だったが、全米最大の家電量販店チェーン「ベスト・バイ」の最高経営責任者、ブライアン・ダン氏はこほのど、業界アナリストとの会合で、特に3Dテレビに ついて言及、「予想をはるかに下回る結果に終わりそうだ。今年の収益予測を下方修正しなければならない」と、失望感を隠せない様子だったという。ダン氏の 発言が報じられると、この日の同社の株価は15.5%下落した。


米投資信託会社「ヘネシー・ファンド」の資産管理担当マネージャーを務めるフランク・インガラ氏によれば、米消費者は現在視聴可能な3D番組に魅力を感じ ていない模様で、高価格も敬遠されている。一方、投資家の間には、「薄型テレビがようやく普及し始めている最中に、家電メーカーはなぜ次世代テレビに全力 投入したのか」という大きな疑問が湧いている、と説明している。


消費者市場の動向分析などにあたる米調査会社NPDグループのアナリスト、ロス・ルービン氏は、「3D映像の特性を十分計算した念入りな制作がされていな い番組を視聴した消費者から、気分が悪くなるなどの苦情が出ているようだ。また、専用メガネが高価なことも、消費者から敬遠されている要素になっている」 と分析している。


また、ソニーとグーグルが共同開発したインターネット・テレビの販売不振については、「同サービスに番組提供を見合わせるネットワーク・テレビなどが続出 している」「家庭用ゲーム機やブルーレイ・プレイヤーなどを利用すれば、インターネット・テレビとほぼ同様のサービスが得られることに消費者が気がついて いる」(ルービン氏)などが指摘されている。