米CATV、NBCUの経営支配権獲得か


米ケーブルテレビ事業者(CATV)最大手のコムキャストが米メディア大手NBCユニバーサル(NBCU)の経営支配権を取得する動きに出ている。NBCネットワークやケーブル局、さらにはユニバーサル映画などを傘下に置くNBCUは、世界最大級の複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)が80%、仏メディア・通信企業ビベンディが20%の株式を所有する合併企業。ビベンディ側が同社の持ち株を譲渡したい意向を受けて、コムキャストが名乗りを上げた。


複数の米メディアによると、コムキャストとGEが株式非公開の新合併会社設立を目指している模様で、コムキャストが51%の株式を取得し(GEが49%の株式を保有)、支配権を握る方向で交渉が進んでいるという。設備の一新のための大型資金の必要性に迫られているGEと、事業の中核を番組再送信(CATV事業)からコンテンツ・プロバイダーを含む総合メディア企業にシフトしたいコムキャストの思惑が一致した形だ。


コムキャストは、特に、USAネットワークやサイファイ・チャンネル、さらにはBravoやMSNBCなどNBCUが傘下に置く人気ケーブル局の取得に大きな魅力を見出しているという。こうしたケーブル局の収益は企業価値300億㌦とも言われるNBCU全体の6割にも達する模様。ちなみに、米CATVは、有力ケーブル局に対し、高額な再送信料を支払っている。


コムキャストはブロードバンド配信サービスにも力を入れているが、豊富で魅力的なコンテンツ(番組)が、現在無料型が主流の動画サービスの有料化の強力な武器になる(米銀行大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリスト)との見方も出ている。


しかし、コムキャストがCATV事業ばかりでなく、すでに「G4」や「E!」など、ケーブル局を傘下に置くこともあり、米連邦通信委員会(FCC)や独禁法取締当局が認めない可能性もあり、新会社誕生の可能性は五分五分(ウォールストリート・ジャーナル紙)との見方もある。