米CATVが今夏、ターゲットCM展開へ


米大手ケーブルテレビ(CATV)事業者6社が共同開発したターゲット広告が今夏スタートすることになった。「カヌー・ベンチャー」と呼ばれる同プロジェクトは、「従来型のCMでは、我々がターゲットにしている消費者にメッセージが届いているかどうか不確かだ」とする広告主の不満を受けて立ち上がったもの。特定の商品などに関心を示す消費者をターゲットに絞る広告方法だ。


不況経済を反映して広告主の財布の紐が固くなっている中で、総広告費というパイが大きくなるわけではなく、各メディア間で分捕り合戦が戦わされることになるのは必至。そんな中、引き続き安定した広告収入を得られる媒体とされているCATVではあるが、ターゲット広告を次世代の広告方法と位置づけ攻勢に出た格好だ。

カヌー・ベンチャーは、今年5月にスタートするはずだったが、各CATVが加入者に提供している様々なセット・トップ・ボックス(STB)に対応できるソフトの開発に予想以上の時間がかかった模様だ。経済誌フォーブスなどによるとCATV最大手コムキャストが同プロジェクトに投入した資金は7000万㌦(約67億円)に上るという。

同広告法の展開には、CATVが収集する加入世帯の家族構成や個人情報などが利用されることから、市民団体などからは、「プライバシーが侵害される可能性がある」などと反発の声も上がっている。なお、同ベンチャーに参加していないニューヨーク近郊のCATVケーブルビジョンも今年3月、同様のターゲット広告を実験的に展開している。