米CATV最大手が新VODサービス

テレビ番組や映画のビデオ・オン・ディマンド(VOD)に力を入れる米ケーブルテレビ(CATV)最大手コムキャストが、一連の新サービスを発表、VOD攻勢に出た。同社の会長兼最高経営責任者ブライアン・ロバーツ氏がこのほど、ラスベガスで開かれた世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で明らかにしたもので、「プロジェクト・インフィニティ」と名づけられた新戦略は、現在提供しているVODタイトル数を現行の月間1,300タイトルから向こう1年ほどで6,000タイトルと、4倍強近く増大する。究極的には無限のテレビ番組などをVOD提供することを目標にしている。

そのほか、同社が提供するケーブル・インターネット(ブロードバンド:高速大容量通信)上で利用できる新たなダウンロード技術「ワイトバンド」を発表したほか、テレビ番組の視聴はもとより、出先から自宅のDVR(HDD内蔵型の録画機)をリモートコントロールすることも出来るネットサイト「Fancast.com」の創設を明らかにした。

プロジェクト・インフィニティのもう一方の目玉はHDコンテンツの充実化。同社では今年中にVODで視聴できるHD番組や映画のタイトル数を月間1,000にまで引き上げたいとしている。また、ワイドバンド技術は、コンテンツのダウンロード時間を大幅に短縮するというもの。ロバーツ会長によれば、既存のブロードバンド経由では6時間ほどかかった映画(2時間相当)をわずか4分でダウンロード出来るという。同サービスの展開は年内をめざしている。

米CATVは衛星放送やインターネット・プロトコール(IP)を運用した番組再送信事業に参入を始めた電話会社との熾烈な顧客争奪戦で劣勢が伝えられており、コムキャストのVODサービスてこ入れは生き残りをかけた経営戦略と位置づけられている。