米CATV業界が不振の傾向


過去数年に渡り好調を続けていた米ケーブルテレビ(CATV)事業者が不振に落ち込み始めた。契約世帯数の減少、衛星放送や電話会社が提供するIPテレビへの契約者の鞍替え、FCC(米連邦通信委員会)の対CATV新ルール制定の動きなどが不振の要因となっている。

業界誌「ブロードキャスティング&ケーブル」によると、CATVトップ5社が失った契約世帯数は今年7~9月期だけで20万軒。長年に渡るライバル、衛星放送がHDチャンネルの充実などサービス内容を改善し猛烈なセールス攻勢をかければ、電話会社がIPテレビ展開で新たなライバルとして台頭し始めるなど、CATVにとって難問が山積している。

また、FCCがCATV業界に対し、加入料金の値下げやマイノリティー・グループへのチャンネルの開放、さらには加入者が好きなチャンネルの組み合わせを選択できる「アラカルト方式」などを求める方針で、新ルールが制定されればCATVにとって大きな足かせになる可能性がある。

こうした不利な状況にCATV各社の株価も軒並み下落している。全米最大のCATV「コムキャスト」は11月15日の時点で1株$19.66と、今年の最高値から35%も減少し、CATV業界全体の不振ぶりを象徴的に現している。ちなみに、同社の7~9月期の加入世帯数は6万5000軒減少した。そのほか、第2位のタイムワーナー・ケーブルでは8万3000軒が、第8位のメディアコム・コミュニケーションズが13万軒、ニューヨーク近郊のケーブルビジョン・システムズが16万軒などと、大手CATVが軒並み加入者を失っている。

一方、衛星放送最大手「ディレクTV」は同期に35万軒の新規加入社を獲得したほか、電話会社によるIPテレビ・サービスには27万7000軒が新規加入した。