米CBSスポーツのネット広告売上が活況


 米メディア企業大手CBSコーポレーションで、番組のインターネット配信から得る広告収入が活況を呈している。傘下のCBSネットワークが毎年放送している全米大学体育協会(NCAA)主催のバスケットボール競技の決勝ラウンド「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」の模様は、インターネット上でも無料配信されているが、今年も人気が沸騰。広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」によれば、同競技のネット広告枠は完売状態。売上高も昨年比20%増の3700万㌦(約33億3000万円)に達した模様だ。


同競技が昨年得たテレビ広告額6億1900万㌦(約557億円)(米メディア調査会社キャンター・メディア)に比べれば、まだまだ微々たるものだが、視聴 者一人当たりの広告売上に置き換えれば、テレビに匹敵するほどのものになっているという。ちなみに、昨年、試合の模様をテレビで見た視聴者は1億3000 万人だったのに対し、オンライン視聴者は750万人だったという。


アド・エイジは、「CBSは、テレビであろうがインターネットであろうが、プラットフォームの違いにかかわらず、同等の広告収入を獲得するという目標に一 歩大きく近づいたことになる」と評している。CBSの社長兼最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏も、ニューヨーク市内で行われた投資家との会合 で、「インターネット上の番組配信が新たな収入源として大きな役割を果たしている」と述べ、インターネット広告の拡大に大きな期待を寄せている。


CBSはマーチ・マッドネスのネット上の配信を2003年から開始したが、当初有料だったものを2006年からは無料に切り替えている。また、地域によっ ては再送信するケーブルテレビ事業者などに配慮し、配信する試合を限定したが、いまでは最終ラウンド全64試合をすべて無料で配信している。同競技は、日 本の高校野球のように、全国に散らばった人々が出身地のチームを応援する人気スポーツ。テレビの無いオフィスではパソコン画面に熱中する姿が多く見かけら れるという。