米CNNが選挙後を見据えた戦略


米CNNテレビが今、大統領選挙予備選報道のおかげで好調だ。今年の予備選は特に民主党がバラク・オバマ、ヒラリー・クリントン両候補が歴史的な接戦を繰り広げているため、人々の関心が高く、高視聴率につながっている。

相変わらずニュース専門局の中では、ニューズ・コーポレーション傘下のFoxニュース・チェンネル(FNC)が首位の座を守っているが、CNNは08年1-3月期の平均視聴者数が昨年同時期比27%も増加となる63万2000人を記録した。米調査会社SNLケーガン社では、CNNの今年のCM売り上げが昨年比7%増となる5億4510万㌦(約572億円)に達すると予測している。ちなみに、FNCの視聴者数は11%増95万2000人、MSNBCも好調で21%増の39万7000人だった。

しかし、CNNは好調さに浮かれてばかりいられない。「選挙の年の翌年はニュースの量が落ち込み、人々の関心が薄れるのが通例」(CNN営業担当グレッグ・ダルバ最高執行責任者)と、「ネタ枯れ」が予想される来年を見据えた戦略を練っている。ブロードバンド(高速大容量)通信のみならず携帯電話など、マルチ・プラットフォーム向けのデジタル配信をさらに推進する考えだ。CNNの調べでは、ブロードバンドでCNNの様々な番組を見た人が、新しい視聴者として放送を見るようになることが明らかになっている。

また、CNNでは特定スポンサー提供のシリーズ企画を継続していく予定だ。米国の人種問題を考える「Black in America」や環境問題を扱った「Planet in Peril」などのシリーズが、広告主から高い評価を受けていることに勇気付けられ、この路線をデジタル配信も視野に拡大していく予定だ。来年早々に、新大統領の就任100日間をドキュメントする「First 100 Days」を制作することが決まっている。