米CNNとCBSニュースが提携か

 米ニュース専門局の元祖CNNテレビとCBSネットワークの報道部門CBSニュースとの提携話が再浮上している。雑誌「ニューヨーク・マガジン」が5月4日報じたのをきっかけに米メディアが一斉に報道している。それによると、両社は最近、CBSがCNNの取材網などを活用したり、共同取材体制を構築する方向で直接交渉を始めたという。


CBSニュースは、朝と夕方の看板ニュース番組がそろって不調。特に「アメリカの良心」などと呼ばれた名物アンカーマン、ウォルター・クロンカイト氏がキャスターを務めた全国向け夕方ニュース「CBS Evening News」は、衰退の一途をたどりっ放し。いまや12年間連続で3大ネットワーク中最下位の座に甘んじている。朝の情報番組「The Early Show」も万年最下位。視聴率の低下にともなう広告収入の落ち込で、特に増加を続ける海外取材運営費を支えられなくなっている。CNNの海外取材網を利用できれば大きな節約につながる。


一方、CNN側はプライムタイムの看板番組の視聴率が軒並み低下。視聴率競争で、ライバルFoxニュース・チャンネルやMSNBCに水をあけられている。米テレビ報道かつての雄、CBSニュースのキャスターや記者がCNNの番組に出演すれば、強力な応援部隊になることは確実だ。


両社の親会社、CBSコーポレーションとタイムワーナーとの間に良好な関係があることも提携しやすい環境を作り出している。大学の人気バスケット競技「マーチ・マッドネス」の独占放送権更新にあたってはCBSがタイムワーナー傘下のケーブル局グループTBSとパートナーを組みことになった。CBSが放送する人気プライムタイム番組「Two and a Half Men」や「The Big Bank Theory」などは、タイムワーナー傘下の制作会社ワーナー・ブラザース・テレビジョン・スタジオが制作している、といった具合だ。


ただ、障害がないわけではない。CBSニュースの報道スタッフのほとんどが組合員であるのに対し、CNNスタッフは非組合員。雇用契約などが複雑化することは必死だ。また、番組出演者との契約もすべて更改しなければならない。交渉筋によれば、話し合いは真剣に行われている模様だが、結論がでるまでには相当の時間がかかりそうだ。