米FCC、ホワイトスペースの開放を決定

米連邦通信委員会(FCC)は11月4日、テレビ局が使用しない周波数帯域、いわる「ホワイト・スペース」の無免許使用を許可する決定を満場一致で採択した。来年2月17日をもって完全デジタル化になる米国では、各地で未使用のチャンネル(ホワイト・スペース)が出てくる。この帯域を運用した無線サービスは、現在のWi-Fi(無線LAN)などに比べ、到達距離が長いことや建物の壁なども通りやすいことから、高度な新世代無線通信網を構築でいるとされている。そのため、マイクロソフトやグーグル、さらにはインテルなどのハイテク産業がホワイト・スペースの開放を求めFCCに対し強力なロビー活動を展開していた。

一方、ホワイト・スペースの開放については、反対意見も少なくなかった。テレビ放送の電波干渉を起こす可能性が高いとする放送事業者や無線マイクロフォン・システムなどの障害になり、公演を脅かす大問題に発展する可能性があるとするブロードウェイ業界が盛んな反対ロビー活動を展開した。しかし、FCCは、「様々なテストの結果、懸念される電波障害は起こらないとの結論に達した」との見解に達し、ホワイト・スペース開放を決定した。

ホワイト・スペースは、個人・ビジネス用途向けの高速データ通信などに、無免許で提供されることになるが、FCCではテレビやラジオ放送などに影響を与えないよう、通信機器などの徹底した監視を行う予定。今回の決定には、他先進国に比べ普及率が低いブロードバンド(高速大容量)通信網に危機感を抱くFCCの委員全員(5人)が賛成票を投じた。