米FCCが衛星ラジオ合併を承認

米連邦通信委員会(FCC)はこのほど、米国で衛星ラジオ放送を手がけるシリウス・サテライト・ラジオとXMサテライト・ラジオ・ホールディングスの合併を承認した。両社の申請から承認にいたるまで実に1年4ヶ月と、異例とも言える長期間にわたる審査期間を経たことになる。米国で人気上昇中の衛星ラジオは2001年9月に立ち上がったXMラジオと、ほぼ1年後に創設されたシリウス・サテライト・ラジオによる複占状態だったがFCCの承認プロセスにおける最大の関心は独占の是非にスポットライトがあたった。

委員5人で構成されるFCCの審査では、「独占状態は、一方的な番組内容や加入料金を消費者に強いる可能性につながる」などと合併に反対する民主党系委員2人と、規制緩和を主張する共和党系委員(含む委員長)2人が真っ向から対立、承認されるかどうかは残りの共和党系委員、デボラ・テイラー・テイト氏に委ねられた格好となった。結局、「加入料を3年間凍結する。基本パッケージの番組内容は加入者が自由に選べるようにする。子供でも安心して聴取できる“ファミリー・パッケージ”を用意する」などの条件をラジオ局側に課すことを主張していたテイト委員の主張を共和党サイドがのみ、3対2で合併を承認した。

ケビン・マーチンFCC委員長は声明の中で、「合併は番組の選択肢を拡大するなど消費者に恩恵をもたらすほか、技術革新を促進させることになる」などと、賞賛。しかし、消費者団体などからは、「独占は健全な競争をそぐことになり、消費者の利益を損なうことになりかねない」などと一斉に反発の声が上がっている。また、全米のラジオ局を代表する全米放送事業者協会(NBA)は法的手段も含め、合併を阻止する構えだ。

合併後の会社名は「シリウス・XM・ラジオ」。加入者総数は1,850万人。2009年には相乗効果のおかげで4億㌦(約428億円)の経費削減が可能になるという。