米FoxがCM飛ばし視聴対策


米FoxネットワークがCMや番組宣伝の飛ばし視聴に対する新たな対応策の商業実験を始めた。HDD内蔵型の録画機、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)を利用し、好きな番組を好きな時に見る視聴者を念頭においている。対応策は2パターン。同ネットワークの人気番組「アメリカン・アイドル」のCM枠を対象にしたものと、他番組放送中に流す同ネットワークの新番組宣伝だ。FoxではDVRメーカー大手ティボ社の協力を得て、ロサンゼルス地区を対象に展開、データを収集中。


番組内のコマーシャル・タイム中には複数のCMが流されるのが通例だが、アメリカン・アイドルではコマーシャル・タイム中に他CMにはさまれる形で、同番組出場を夢見る参加者のオーディション中のパフォーマンスが紹介される。CMを飛ばそうとする視聴者が、思わずリモコン操作を止め見入ってしまうというわけだ。「Podbuster(ポッドバスター)」と呼ばれるこの手法は「アイドル・モーメント」(10~20秒)と名付けられた。同様な方法は過去にNBCネットワークやBBCアメリカの番組でも試されたことがあるが、米テレビ界人気ナンバーワン番組に登場したことで、大きな注目を集めている。Fox関係者は、「この手法は、どの番組でも効果が得られるわけではない。そして毎日流す手法でもない」と述べ、本格採用には慎重に対処していく考えを示している。


一方、ネットワークがプロモート中の番組宣伝に使われるCM方法は、「TiVo-buster (ティボバスター)」と呼ばれ、DVRの代名詞になっているティボ利用者などが、リモコンで番組CMを早送りしても、イメージやメッセージがはっきりと認識できるよう工夫されている。Foxでは現在、視聴者獲得に力を入れているドラマ「Lie to Me」の番宣にこの方法を取り入れている。

ニールセンによれば、DVRは2月現在、米テレビ世帯の約三分の一(29.6%)に普及している。