米GMがアカデミー・スーパーボウルから撤退


米自動車メーカーの最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が金融危機のあおりを受け経営難に陥っている。GMといえば米メディア界にとって大広告主だが、そのGMが、来年2月に開催予定のアカデミー賞授賞式の中継番組と、アメリカンフットボールの王者決定戦「スーパーボウル」中継番組のスポンサーから撤退すると発表した。スーパーボウルとアカデミー賞といえば、米テレビ界の二大イベント。業界内ではGMの撤退発表に衝撃が走っている。

GMは過去11年にわたりアカデミー賞のスポンサーだったが、業界誌「アドバタイジング・エイジ」によると、昨年放送された授賞式では1,350万㌦(約13億5,000万円)相当のCM枠を購入していた。GMは米テレビ界のアカデミー賞といわれる「エミー賞」授賞式(9月)の中継番組のスポンサーから撤退したばかり。

ところで、GMが撤退したあとのCM枠は、韓国の自動車メーカー、現代自動車の米国社「ヒュンダイ・モーター・アメリカ」がそっくり引き受けることになった。現代自動車は、米国内の売上げ台数が伸びているほか、新しく契約した代理店のもと広告戦略の見直しを図っていたが、アカデミー賞のスポンサーになることが得策との判断が働いた模様。

一方、アカデミー賞授賞式の主催者「映画芸術科学アカデミー」はこのほど、50年来の伝統を破るかたちで、同授賞式中継番組中に映画会社のCMを放送することを決定した。アカデミーのシッド・ガニス会長は、「アカデミー賞は映画の祝典。映画の予告編がCMのかたちで放送されたとして不快に感じる人はいないのではないか」と映画CM放送を正当化している。

アカデミー賞授賞式は50年以上前からテレビ中継されているが、映画CMは、「式典にとって不適切なCMであるばかりか、受賞作選考に悪しき影響を与える可能性がある」とのアカデミーの判断で初回から禁止されていた。新ルールでは、一社が放送できる映画CMは30秒あるいは60秒枠が一回に限定される予定。