米NBC、冬季五輪放送が赤字へ


バンクーバ冬季五輪まで1ヶ月を きった。米国におけるオリンピック中継番組はNBCユニバーサル傘下のテレビ局で流されるが、CM販売が芳しくなく、赤字運営を強いられることになりそう だ。米国で独占放送権を握るNBCユニバーサル(NBCU)のスポーツ部門を統括するディック・エバソール会長はこのほど、カリフォルニア州パサデナ市で 開かれたメディア会合で記者団に対し、「年明けに売れ行きが改善されたものの、昨年夏から暮れにかけてのCM販売不振が響いた。不況ににやらえた」と述 べ、高額な放送権に見合うだけのCM収入には至らないとの見通しを示した。


エバソール会長によれば、オリンピック放送が赤字になるのは、同会長が五輪放送を担当するようになった1992年以来始めてのこと。NBCUの親会社 GE(ゼネラル・エレクトリック)のジェフリー・イメルト会長は投資家との会合で、「NBCUはバンクーバ五輪で、数百万㌦の損失を計上するだろう」と予 想している。AP通信によれば、NBCUがバンクーバ五輪に支払った放送権料は8億2000万㌦。2006年のトリノ大会の6億1300万㌦に比べ30% 以上もの値上がりとなった。


そんなバンクーバ五輪情勢が、今年行われる2014年と2016年の五輪放送権交渉にも影を落とすことになりそうだ。国際オリンピック委員会(IOC)が、米広告市場の回復を待ちながら、交渉を延期する可能性が出てきたためだ。

  
ところで、NBCU関係者は、赤字予報によって番組内容や取材体制に影響が出ることを否定している。NBCUは旗艦ネットワークのNBCネットワークを中 心に、USAネットワークやMSNBCなど傘下のケーブル局をフル動員し、冬季五輪としては過去最高となる合計835時間の五輪中継を行う予定。インター ネット上でも合計1000時間にわたるオリンピック中継動画が配信されるが、アクセスはケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者などの加入者に限定さ れる。