米NBCの北京五輪放送が高視聴率で終了


第29回夏季オリンピック北京大会は24日、北京市北部の国家体育場で閉会式を行い、幕を閉じた。米国では競技の模様をNBCユニバーサル(NBCU)が傘下の地上波テレビやケーブル局を総動員し独占放送したが、期間中(16日間)に少なくとも6分間番組を見た視聴者の数が2億1,100万人と新記録を樹立したと発表した。これまでの記録は1996年に米国内で開催されたアトランタ大会の2億900万人。また、同期間中の一日あたりのプライムタイム(米東部時間午後8~11時)の平均視聴者数は2,770万人と、前回のアテネ大会を11%上回る好成績を残した。ちなみに、録画され半日遅れで放送された閉会式の視聴率も15.2%と1976年以来最高となった。

広告(CM)売上げも10億㌦(約1,100億円)を突破、収益は1億㌦(約110億円)を超えることは間違いない情勢(ニューヨークタイムズ紙)。NBCスポーツ部門会長のディック・エバソル氏はニューヨークタイムズ紙に、「大会前に不安視されていた時差や大気汚染、さらにはチベット問題など不安要素に加え、減速傾向を示している米経済の中、CMの売上げが思い通りにはかどらず、一時は赤字を覚悟したこともあった」と振り返っている。

エバソル氏は、今五輪放送成功の要因の一つに、史上最多となる1大会8個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス選手が活躍した競泳と、一方の人気種目、体操競技をプライムタイムに編成できたことを挙げている。北京大会に8億9,400万㌦(約983億円)もの巨額な放送権料を国際オリンピック委員会(ICO)に支払っているNBCUが競技時間の決定などに大きな発言権を持っていることは周知の事実だが、開催期間が通例の9月から8月に前倒しされたことも功を奏した模様だ。8月は夏休み中ということもあり、家族そろってオリンピック観戦をした世帯が多かったという。また、昨今のガソリン高で、旅行を控えた家族の多くが五輪観戦したという情報もある。