米NC州、全米に先駆け完全デジタル化へ


米国地上波テレビのデジタル放送化は来年(09年)2月17日に設定されているが、全国に先駆けてノースカロライナ州ウィルミントンでアナログ放送が終了される。同地域のテレビ局(公共放送局を除く)5局が9月8日正午、一斉にアナログ放送を停止、デジタル放送に切り替えるからだ。同地域のデジタル放送化は、米連邦通信委員会(FCC)の要請によるもので、アナログ波の停止により、どのような影響が出るかを検証する実験放送的な役割も担っており、その行方については全米が注目することになる。

同地域のテレビ局は、アナログ放送停止の決定通知を今年5月に受け取ったが、それ以降は連日のように周知を呼びかける様々なPR活動を展開している。周知活動はすべてのテレビ局が連携して行っているが、FCCもスタッフを派遣するなど全面協力。地元の教会、消防署、学校さらにはショッピングモールなどでこれまでに300回以上の説明会を開いたという。もちろん各局は番組中のメッセージ放送も実施した。そんな努力の甲斐あってか、CBS系列のWILM-TV局の調査では全住民の97%が「デジタル化移行を承知している」と答えているという。現在、完全デジタル化が浸透していない高齢者や障害者、さらには低額所得者を対象に最後の周知活動が行われている模様だが、9月2日には全局が午後7時30分から一斉にすべての番組を中断し、5分間にわたる文字メッセージを流す予定。

ニールセン社によれば、ウィルミントンは人口18万人を抱える全米第135番目のテレビ市場。なお、同地域は大西洋に面した海岸地域で、夏期はハリケーンの進路となるケースが多く、FCCではハリケーンの勢力が大きい場合などは臨時にアナログ放送に戻すことも検討している。