米NC州のデジタル放送が無難なスタート


米ノースカロライナ州ウィルミントンの地上波テレビ局(5局)が8日正午、一斉にアナログ放送を終了し、デジタル放送を開始した。米国では来年2月17日に全国で完全デジタル化が決行されるが、ウィルミントンは米連邦通信委員会(FCC)の要請を受け、約5ヶ月全国に先駆けデジタル放送をスターさせた。

当日はFCCのケビン・マーチン委員長とウィルミントン市のビル・サッフォ市長のほか、全米放送事業者教会(NAB)のデイビッド・レア会長らが記念式典に出席し見守る中、アナログ放送からデジタル放送への移行が始まった。同日夜の時点で、テレビ局に、「テレビが映らなくなった」などとする苦情が寄せられたが、件数は5局合計で226件ほどに留まった模様。クレームの大半は、受信チューナーの接続やチューナー内プログラムの設定方法が分からない、というものが中心で、地元テレビ局の一つWWAYテレビのゼネラル・マネージャー、アンディ・コームズ氏は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに、「初日は大成功だ。今後も大きな障害は出ないだろう」と、デジタル放送への移行がスムーズに運んだという認識を示している。ウィルミントンは人口18万人。テレビ市場としては全米第135番目と比較的小さな地域なため、「事前の周知活動が徹底できた」(地元局関係者)模様だ。

ケビン・マーチンFCC委員長は、「重要なことは、今後もスムーズに行くのか。あるいは予測できないトラブルが生じるのか、などを見極めることだ」と語り、ウィルミントンのデジタル放送状況、特に直接受信者に与える影響などを注視していく考えを強調している。ニールセンによればウィルミントン周辺には約1万4千軒の直接受信世帯があるが、全国の直接受信世帯は約1,300万軒に上るという。今回のデジタル化は実験放送の役割も担っており、全米の放送事業者などの注目が集まっている。