米No.1情報番組が日系人アンカーを抜擢


NBCネットワークが放送する、朝の報道・情報番組「Today(トゥデー)」のメイン・キャスターの一人に日系アメリカ人のアン・カリー氏(54)が就任することになった。トゥデーは、地上波3大ネットワーク(ABCCBSNBC)が放送する朝の報道・情報番組の中で、199512月以来15年半にわたり視聴率トップの座を守り続けている最強番組。米調査会社「キャンター・メディア」によれば、トゥデーの2010年における広告売上高は53500万㌦に達した模様で、米報道系番組の中で、群を抜いた稼ぎ頭となっている。米報道・情報番組の最高峰に上り詰めることになるカリー氏は、「コンピューターおたくの女学生がフットボール・チームの花形選手に卒業記念パーティーダンスに誘われたような気分」と述べ、長年の夢がかなったことを喜んでいる。

 

カリー氏は、トゥデーでニュース・アンカー(番組中にニュースを伝える役割)を14年間務めたベテラン。現在同番組のメイン・アンカー(メイン・キャスター)を務めるメリデス・ヴィエラ氏が私的な理由で6月に降板することから、その後任に抜擢された。番組のメイン・アンカーは二人制で、カリー氏は男性キャスター、マット・ラワー氏とペアを組むことになる。

 

カリー氏は、第二次世界大戦終戦時、米海軍軍人だった父親ボブ・カリー氏が日本で出会ったナガセ・ヒロエさんとの間にグアムで生まれた。幼少時代は米軍佐世保基地など日本に住んだこともあるが、米国各地の基地を転々としたあと家族揃ってオレゴンに移住した。子供のころ母親が人種差別を受けたこと、その母親がたびたび口にしていた「頑張る」という言葉を鮮明に覚えているという。奨学金を得ながらオレゴン大学でジャーナリズム学科を卒業。オレゴン州のテレビ局でレポーターなどを経験した後、ロサンゼルのCBS直営局KCBSテレビでエミー賞を受賞するなどめきめき頭角を現し、1990年にNBCニュースに移籍した。

 

カリーさんの抜擢について、トゥデーのエクゼクティブ・プロデューサーを務めたことがあるトム・タチェット氏はニューヨーク・タイムズ紙に、「視聴者と自然なかたちで気持ちが通じ合える、特別な人柄の持ち主だ」と絶賛している。米テレビ報道系番組出演者の好感度を計る「Q Score」によれば、カリーさんの好感度は21と平均ポイント12を大きく上回っているほか、前任者のビエラ氏にもワンポイント水をあけている。 

<テレビ朝日アメリカ 北清>