米TV、黄金の木曜夜編成に異変


TV、黄金の木曜夜編成に異変
米ネットワークテレビで最重要視されている木曜日プライムタイム編成に異変が起きている。米国では“花の金曜日”には外出する人が多いことからテレビ視聴者数が減少するといわれ、テレビ局は木曜日夜に視聴率が稼げそうな看板番組を重点編成するのが慣わしだ。週末を意識した映画業界をはじめ、買い物客を当てにした、自動車メーカー、小売業やレストラン業界などからの大広告主が各番組のスポンサーに肩を並べ、番組CM料金が高額なことでも知られてる。


ところが9月中旬から始まった新シーズンで、木曜夜の視聴者数が減少傾向を示していることが明らかになりテレビ事業者が危機感を抱いている。米調査会社ニールセンによれば、シーズン開始後第1~4木曜日夜のプライムタイム(午後8~11時)における、地上波テレビ局とケーブル局を合わせた平均視聴者数は、広告主が重視する18~49歳層で4850万人と、前年比4.3%減少していることが分かった。世帯視聴率も1%の減少を示している。特筆すべきは、4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)の視聴者数が昨年比14%も減少していることだ。


実は木曜夜の視聴者数は2007年以来減少傾向を示していた。ケーブル局の台頭に加え、米生活者の視聴習慣が変わってきていることが大きいが、日曜日と月曜日夜の視聴者数(18~49歳層)が木曜日を上回ることが珍しくなくなっている。しかし、今シーズンはさらに火曜日と水曜日夜の視聴者数が勝ることが目立ってきているという。テレビ事業者にとってさらに心配なのは、18~49歳層の視聴者数が昨年比2.9%も落ち込んでいることだ。広告主がターゲットにしている同層の視聴者数が減少すれば即広告収入の減少につながるからだ。


ニールセンでは、新シーズンは始まったばかりで、早急に結論を出すことには注意を呼びかけているが、専門家やアナリストは、若者の目がインターネット上のテレビ番組配信やアイパッド(iPad)に代表される携帯端末に向けられていること、さらにはHDD内蔵型のデジタル録画機(DVR)利用の急増などが要因になっていると指摘している。ネットワーク関係者からは「新番組が1,2本ヒットすれば、ガラッと変わる」などと強気の発言も出ているが、問題は広告主がいつまで辛抱強く待ってくれるかだろう。