米TV広告売上げが本格的な回復基調に


 米テレビ業界の今年の広告売上高が昨年比14%強増と大幅な伸びを示すとの見通しが出た。米有力調査会社「SNLケーガン」がこのほど発表した推計によると、2010年における米テレビ局の広告売上げは、昨年比14.3%増となる198億㌦(約1兆7820億円)。不況の影響で15年ぶりの不振となった昨年の広告売上高173億㌦(約1兆5570億円)を大きく上回ることになりそうだ。同社によれば、今年1-3月期、自動車業界からの広告支出が昨年同期比40%も増加したほか、今年は中間選挙を控え、活発な広告市場になる模様。さらに、テレビ局がインターネットや携帯端末向けの番組配信などから得る、デジタル広告収入も好調に推移する模様で、今年の売上高11億㌦(約990億円)が2016年には21億㌦(約1890億円)とほぼ倍層する見込み。


また、SNLケーガンでは、テレビ局がケーブルテレビ(CATV)事業者などから回収する番組再送信料にも注目、これを含めた売上高は今年209億㌦(約1兆8810億円)、2016年には254億㌦(約2兆2860億円)にも達すると予測している。番組再送信料については、これまで地上波テレビ局を傘下に置くメディア企業が、グループ傘下のケーブル局の再送信料を優先させ、地上波局については徴収を見合わせしていた。しかし、CM収入が低下傾向を示すなか、新たな収入源として、地上波テレビ局の再送信にも課金をする動きが高まっている。昨年末に、送信料設定でCATV事業者タイムワーナー・ケーブルとの交渉が難航したニューズ・コーポレーションが、傘下のFox系列テレビ局の番組送信を中止する強硬手段の構えを見せるなどし、世間を騒がせたことはまだ記憶に新しいところ。


ところで、SNLケーガンの予測では、ラジオ局の広告売上げにも明るい兆しが出ている。今年の広告売上高は昨年比6.4%増となる171億㌦(1兆5390億円)に達するという。ちなみに、昨年の売上高は前年比17.7%減少となる160億㌦(約1兆4400億円)だった。