米テレビ広告費、リセッション前レベルに


夏から始まる新シーズンにおけるCM料金の設定などが行われる「アップフロント」交渉を1ヶ月後に控えた米テレビ業界に朗報が続いている。米コンサルティング会社大手デロイト社がこのほど発表した調査結果「State of the Media Democracy10年版によれば、米消費者による様々なメディアとの接触の中でテレビ視聴が断トツの人気を博していることが明らかになった。71%の米市民がテレビ視聴を挙げており、2位のインターネット利用(46)3位の音楽聴取(35%)などに大きく水を開けている。さらに86%の人が、新製品などを購買するきっかけとしてテレビCMの影響を挙げており、広告媒体としてのテレビの威力を改めて印象付ける結果となった。

 

こんな傾向に応えるかのように、テレビに対する広告出稿が増大傾向を示していることが分かった。米調査会社eMarketerによれば、今年の地上波テレビネットワークとケーブル局に対する広告(CM)費は約605億㌦に達する見込みだ。総広告費の39.1%を占める規模で、昨年の38.6%を上回るものになるという。

 

広告業界内には、テレビ向けの広告費がインターネット広告に流れる動きが加速すると見ている向きも多いが、同調査は、「ネット広告が増大する傾向にあることは間違いないが、テレビへの広告出稿を見直す動きは見当たらない」と説明。その理由として、相変わらず広告主の間で、「より多くの消費者に接触できる媒体としてテレビの右に出るものはない」という捉え方が根強いからだ、と指摘している。eMarketerでは12年のテレビ向け広告支出はネット向け広告のおよそ2倍となる645億㌦とさらに増え、リセッション前のレベルに戻る見込みだ。テレビ向け広告費はその後も増え続け、15年には11年比15%増となる680億㌦規模までに増大するという。その一方で、新聞と雑誌向け広告費は下降線を辿ることになりそうだ。

 

同社の予測では、15年の総広告費は1740億㌦。そのうちテレビ広告が占める割合は39.2%、インターネット広告25.6%、新聞11.4%、ラジオ9.9%、雑誌6.7%、などとなっている。 <NY北清>