米TV新シーズン編成はリスク回避


9月から始まる米テレビ界の新シーズンにおける地上波4大ネットワークのプライムタイム編成発表とCM予約販売が5月12日のNBCを皮切りに、ABC(13日)、CBS(14日)、Fox(15日)の順で始まった。番組内容を見ると、昨年11月から100日間続いた米脚本家組合(WGA)のストライキが大きな影を落とした形で、例年に比べ新番組が少ないのが特徴だ。各社、今シーズンで実績を残したレギュラー番組を柱に編成する。新番組も、画期的なものは避け、イギリスなど外国でヒットしたフォーマットを取り入れ制作した番組を採用するなど、リスク回避を狙った編成が目立っている。

今シーズン(5月で終了)、世帯視聴率そして米広告主が重視する若者視聴者層18~49歳層で初の2冠王になることが確実視されているFoxが発表した新番組はサイエンス・フィクション系の「Dollhouse」と超能力を扱った「Fringe」の2本のみ。ちなみに、FringeはABCのヒット作になった「ロスト」のクリエーター、J.J.エイブラムスが担当する。また、両番組はCM時間を思い切って10分程度に短縮する新しい試みを導入する。通常の1時間番組のCMタイムは16~18分。Foxでは露出度が多くなる分、広告主に割高なCM料金を請求するという。この他、今シーズンはストで放送が見送られた人気ドラマ「24」、そして今や米テレビ界のナンバーワン番組となっているオーディション番組「アメリカン・アイドル」も続投が決まった。

ABCも新番組は2本のみ。新番組といっても、コメディー番組「Scrubs」はかつてライバルNBCで短期間に渡り放送されたことがある。もう一方の番組は「Life on Mars」。70年代から現代に迷い込んだ刑事が主人公だ。また、CBSは犯罪捜査ドラマを重点的に編成する一方、コメディー番組を週6本編成する。ブリトニー・スピアーズが出演するコメディー「How I Met Your Mother」が話題になりそうだ。一方、従来型のシーズン制に決別宣言したNBCは、新番組の編成を9月の期首にこだわらず、合計12本の新番組をシーズンを通して断続的に配置する予定。「ヒロイズム」がテーマで、勇敢かつ英雄的な活躍をする主人公が登場する様々な番組を目玉にしている。