米TV新年編成にストの影響見当たらず


テレビ番組のインターネット配信による利益配当の改善などを求め、昨年11月5日以来ストライキに入っている全米脚本家組合(WGA)の思惑がはずれるような事態が新年早々米テレビ界に起きている。

米ネットワークは1月に入って、プライムタイムを、脚本家無しで制作できるリアリティー番組の新作で編成する対応策をとっている。WGA側は「リアリティー番組などでは人気ドラマの代役は務まらない。視聴者離れが加速し、ネットワーク側がWGA側に歩み寄り、交渉を有利に展開できる」と踏んでいた。

ところが、リアリティー番組が意外な健闘ぶりを示し、少なくとも年初段階ではWGA側の思惑が外れた格好だ。NBCネットワークが1月6日からスタートさせた素人格闘競技番組「アメリカン・グラディエーター」(写真)は初回にいきなり視聴者数1,200万人を獲得。特に広告主がターゲットにしている若者視聴者の視聴率が5.9%(18~49歳層)と高かったことから、ネットワーク首脳陣にとって、うれしい誤算となっている。

NBCは同番組の他、かつてリアリティー番組の筆頭格にあがっていた「ザ・アプレンティス(見習い)」のセレブ版の放送を開始している。他ネットワークも、ABCが同局のヒット番組となった「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」の姉妹番組「ダンシング・ウォーズ」をスタートさせたが意外にも好評で、リアリティー編成作戦に確かな手ごたえを得ている。

また、リアリティー番組以外にも、Foxが1月13日にデビューさせた、映画「ターミネーター」のスピンオフ番組「Terminator: Sarah connor Chronicles」が視聴者数1,840万人を獲得し、新番組としては過去2年間で最高記録となるなど、今のところWGAのストの影響は目に見える形で現れていないのが現状だ。