米TV業界のCM売上が20億㌦縮小


英メディア調査会社「スクリーン・ダイジェスト」はこのほど、向こう4年間に米テレビ業界が失う広告費が20億㌦(約2000億円)規模に達するとした調査結果を発表した。同社によると、米ネットワークとケーブル局を合わせた2008年のCM売上高は690億㌦(約6兆9000億円)だったが、2013年には670億㌦(約6兆7000億円)に縮小する。


同社では、米ネットワーク及びケーブル局業界は、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)の普及でCM飛ばし視聴が増加することで広告主に対する立場が一層弱まると見ている。また、若者がテレビを離れ、インターネットを利用する傾向が加速することも指摘している。

ところで、同社ではテレビ業界が蒙る損失の一部はインターネット上のビデオ配信に挿入されるネット広告収入で回収することが出来ると見ているようだ。同社の予測によると、2013年までにオンライン・ビデオCMの売上は3倍増になる。ただ、同CM売上がテレビ広告に占める割合は2.2%程度に留まり、リセッションが終わらないかぎり、根本的な解決策にはならないとしている。同調査「ザ・グローバル・メディア・インテリジェンス」の作成にあたったアナリストの一人アラシュ・アメル氏は英ファイナンシャル・タイムズ紙に、「既存のテレビ・ビジネスが曲がり角に差し掛かっている。オンライン・ビデオ市場はまだ発育途上で、放送の広告収入を補完するまでには至っていないのが現状だ」と説明している。

その一方で、アメル氏は、米4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)がそろってオンライン・ビデオ配信に積極的に取り組んでいることを挙げ、「オンライン・ビデオ広告は急速に拡大する傾向にある」と指摘している。スクリーン・ダイジェストでは、2013年までにオンライン・ビデオ広告が14億5000万㌦(約1450億円)規模にまで成長すると予測している。