米Upfront市場、前年度比微増か
米テレビ業界にとって最も重要なイベントの一つ、Upfront(アップフロント)が5月14日から一斉に始まった。Upfrontでは9月から始まる新シーズン(2007-08年シーズン)で放送されるプライムタイム(20:00-23:00時)編成の発表と、番組内で放送されるCMの前売り販売が行われる。通常、CM枠全体の75%ほどが売買され、残りについてはシーズン直前あるいはシーズン中にさばかれる。 |
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今Upfrontにおける5ネットワーク(CBS、ABC、NBC、Fox、CW)合計の取引額は、昨年並か微増との予測が出ている。米大手証券会社メリルリンチでは、新シーズンは大統領選挙予備選などを控えていることなどから、昨年を上回る86億6,000万㌦(約1兆392億円)の売り上げが期待できると予測している(表参照)。
ところで、今年のUpfrontではHDD内蔵型のレコーダー(DVR:デジタル・ビデオ・レコーダー)による番組視聴状況や、CM視聴率など新しい測定結果の査定をめぐりネットワーク側と広告主側との間で盛んな駆け引きが展開する見通しで、商談が「例年になく長くかかりそうだ」(NYタイムズ紙)との見方が支配的。米経済状況が好調な時はUpfront商談もすばやくまとまるのが通例だが、今年は企業の構えが保守的になっているとの指摘も出ている。特に自動車メーカーの不振が響いている模様で、交渉は夏にもつれこむ可能性もある。
なお、編成内容を見ると、リアリティー番組が目立つ中(先週号参照)、全体にコメディー番組が衰退気味。かわって各局が不思議な能力を持つ人物が登場するサイエンス・フィクションや幻想ドラマ番組を多く編成しているのが特徴だ。