米アップフロント、昨年比15%増で終了


 9月から始まる米テレビ界の新シーズンで放送される番組編成案内とCM予約販売が行われる「アップフロント」交渉が6月11日終了した。プライムタイム(午後8-11時)枠で放送される番組のCM売上高は、業界誌「バラエティー」などによれば、地上波ネットワークテレビ4社(ABC、CBS、Fox、NBC)合計で85~87億㌦(約7650~7830億円)に達した模様。昨年度の売上高を15%も上回る好結果となったばかりか、交渉にかかった時間もわずか3週間と、3ヶ月弱かかった昨年に比べ極めてスピーディーな交渉だった。


売上げ状況をネットワーク別で見ると、ABCの売上高が24億㌦、CBS23~26億㌦、Fox18~19億㌦、NBC16~17億㌦などと推定されている。各ネットワークとも全枠の約75~80%が売り切れたという。残りの枠については、「スキャター」と呼ばれる、シーズン直前あるいは開始直後に行われる交渉に温存されることになった。ところで、Foxはアップフロント交渉中、来年2月に開催されるスーパーボウルのCM予約販売も行ったが、すでに全枠の80%に買い手がついたという。


不況で散々な結果だった昨年に比べ、業界内には、「昨年度の業績を大幅に改善した」「CM需要が大幅に盛り返した」などと、歓迎ムードが漂っている。経済専門局CNBCテレビに出演したメディア・アナリスト、デイビッド・ジョイス氏は、「インターネットの隆盛が取り沙汰される中、今年のアップフロントは広告主が何十億㌦というお金をテレビに投資したい、という意思がはっきり出た。つまり、より多くの消費者に接触できるという意味で、広告主にとってテレビが引き続き最重要媒体であることが再認識された結果だ」と分析している。


活況となったアップフロント市場の背景には、昨年は広告予算を大幅に削減した自動車メーカーや小売業界、さらには金融業界などがこぞって大広告主としてカムバックしてきた(広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」)ことがあるようだ。この他にも、映画や携帯電話など通信業界が活発なスポンサーとして存在感を発揮することになりそうだ。