米アップフロント交渉が成功裏に完了


米ネットワークが広告主に対し、新シーズン編成案の披露とプライムタイム番組のCM予約販売をするアップフロント(Upfront)が、好調な売れ行きを示し完了した。ここのところケーブルテレビなどに押され気味で視聴率低下傾向に歯止めがかからないネットワークテレビだが、今年のアップフロント売上総額はウォールストリート・ジャーナル紙によれば約91億4,000万㌦~93億5,000万㌦(約1兆970億円~1兆1,220億円)と、3年ぶりに前年度シーズンを上回る出来高となりそうだ。ちなみに昨シーズンの売上高は87億2,500万㌦~90億400万㌦(同紙)だった。

新シーズン好調の背景を、ボストンの広告代理店大手「Hill Holiday」でネットワークを担当するステイシー・シェアファティン上級副社長は、次のように解説している。「影響力の衰退が取り沙汰されているものの、広告効果を期待するのならネットワークテレビしかないことを広告主が再認識した。広告主が注目するインターネット広告を念頭にネットワークがデジタル・プラットフォームを包括的に提供した。HDD内蔵型のレコーダー(DVR)を利用する視聴者の扱いで両者が歩み寄ったことなどが活発なCM売買を促した」。

様々な報道を総合するとネットワーク別の売上は、CBSが約25億㌦(約3,000億円)でトップ。これにABCが約24億㌦(約2,880億円)で続き、その後はFoxの19億㌦(約2,280億円)、NBCの18~19億㌦(約2,160~2,280億円)の順となりそうだ。それぞれ昨年度比3~5%増の売上を獲得した模様で、当初不振が伝えられたNBCもほぼ横ばいに踏みとどまり健闘した。また、ミニ・ネットワークと称されるCWネットワークは、6億5,000万㌦(約780億円)と予想以上の売上(同ネットワーク関係者)だった模様。

今年のアップフロントは5月14日から始まったが約1ヶ月で終了。アップフロントでは通常プライムタイムの70~75%のCM枠が取引される。今年は、番組放送後3日間のDVR視聴率「ライブ・プラス3」が初めて交渉に採用された。