米アップル社が新型マルチメディア端末を発表


 米アップルは1月27日、サンフランシスコで新型マルチメディア端末 「iPad(アイパッド)」を発表した。画面サイズは小型・低価格パソコン「ネットブック」並みの9.7インチ、薄さは約1.27cm、重さは約 680g。昨今人気上昇中の電子書籍や動画再生などにも対応することから、電子書籍端末で先行するアマゾンやソニー、さらにはネットブック・メーカーに とって強力なライバルとなる可能性もある。画面が大型なこともあり、新聞・雑誌業界から、本格的な紙面配信ビジネス拡大につながると、熱い視線が注がれて いる。


同機の発売は3月下旬ということもあって、一般消費者からの反応は出ていないが、アナリストや専門家からは賛否両論の意見が出ている。IT製品専門サイト CNetの上級編集員、ドナルド・ベル氏は、「ノート型パソコンやアイフォンなどスマートフォンを持っていない人々にとってうってつけの新製品ではない か。机に向かっての作業には向かないだろうが、外出先で友人などに家族の写真を見せたり、コーヒーを飲みながらニューヨーク・タイムズ紙を読むなどといっ た用途に使われることになるだろう」とその機動性に注目している。また、技術系調査会社「Enderle Group」のアナリスト、ロン・エンダーレ氏は、ニューヨーク・ディリーニュース紙に、「ビデオ・ゲームやDVD視聴などが楽しめるため、車中のエンタ テイメント機器のあり方を大きく変える可能性を秘めている」などと述べている。


一方、IT調査会社「Nucleus Research」社でアナリストを務めるレベッカ・ウェッテマン氏は、「キンドル(アマゾン社の電子書籍端末)をカラー版、そして使いやすくした高級機 に過ぎないのでは」などと冷ややかな感想。米有力調査会社「フォレスター」のアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は、「単にアイポッド・タッチを大きくし たもの」「電子書籍ファンは、引き続き、計重量で手軽なキンドルを選ぶのではないか」と解説している。ニューヨーク・タイムズ紙は、「同製品発表をめぐっ て大騒ぎになっているが、携帯電話業界の常識を変えたアイフォンに匹敵するほどの成功につながるのだろうか」と疑問符を投げかけている。


同製品の価格は、内蔵メモリーの容量などによって、499㌦(約4万5000円)~829㌦(7万4600円)に設定されている。