米ケーブル局がネットワークに挑戦状


米大手ケーブル局が新シーズンに向け、地上波ネットワーク並みのCM料金を求めていく方針を明らかにした。攻勢に出たのはタイム・ワーナー傘下のケーブル局「TNT」。同社はコカ・コーラ出身の辣腕プロモーター、スティーブ・クーニン氏を筆頭に特別チームを編成、来る5月に予定されている「アップフロント」で広告主などを相手に「野心的な」(バラエティー誌)挑戦に取り組む。ちなみに、アップフロントとは、9月から始まる新シーズンの編成内容発表とプライムタイムで放送される番組のCM前売り交渉が行われるイベント。

クーニン氏は、「TNTの放送内容はネットワークと比べても遜色のないものに成長している。それにもかかわらず、CM料金が十分に反映されているとは思えない。ネットワークと同等な扱いを受けない限り、さらなる成長は期待出来ない」と語っている。

TNTの看板番組のひとつになっている女性刑事ドラマ「The Closer」は、今や押しも押されもせぬケーブル局のヒット番組。2007年には、映画やテレビ番組の優秀作に贈られるゴールデングローブ賞を受賞。平均視聴者数850万人を魅了し、ベーシック・チャンネルの人気ナンバーワン番組になっている。クーニン氏は、ネットワークのプライムタイム番組にも匹敵する優秀な番組だと強調している。その他、新シーズンに向け、医療ドラマ「Time Healers」や、「サバイバー」の生みの親マーク・バネット氏が制作する新リアリティー番組が来年後半にはデビューする予定で、編成内容はネットワーク並みに充実するという。

ただ、課題は視聴者数。The Closerのようなヒット番組があるものの、TNTの今シーズンのプライムタイム(午後8-11時)の平均視聴者数は250万人。CBSやFoxネットワークの1000万人に大きく水を開けられていて、地上波局と対等なCM料金を要求する際の大きなハードルになりそうだ。