米ケーブル局が大学フットボール放送権取得

米国で人気のカレッジ・フットボールの放送権取得交渉で、ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門ケーブル局ESPNが、現行契約保有者でニューズ・コーポレーション傘下のFoxネットワークに競り勝った。ESPNが取得したのは米大学フットボールのチャンピオン・シップ・シリーズ(BCS)。2011年から2014年までの4年契約。権料は年間1億2,500万㌦、合計5億㌦(約475億円)。米国では人気スポーツの中継番組が地上波テレビからケーブル局に移行する傾向が高まっているが、権威あるフットボール・シリーズの放送権をケーブル局が握ることで米テレビ業界に少なからぬ地殻変動が起きることになる。

米テレビ各社は不況による広告収入の落ち込みで、高額な放送権料がからむ番組の取得などに消極的にならざるを得ない状況だが、Foxネットワークの決断に疑問符を投げかける向きもある。業界誌「アドバタイジン・エイジ」は、Foxにおける今年のBCSの視聴率が昨年比13%の落ち込みを見せたものの、CM売上げは昨年度の1億5,570万㌦から1億7,815億㌦と2,245万㌦(約21億円)上回ったことを指摘し、「大事な収入源を失うことにならないか」と首をかしげている。これに対し、Fox広報は、「昨今の経済状況を鑑みれば、こちらから提示した額は地上波ネットワークにとって、経営責任がとれるぎりぎりのものだった」と語っている。業界筋によれば、Fox側がオファーした額は総額4億㌦(約380億円)だった模様。

BCSは全米大学競技教会(NCAA)が主催するカレッジ・フットボールのシーズン後に行われる試合。ESPNはレギュラー・シーズンの成績優秀校が出場し、冬のスポーツの風物詩にもなっている競技、オレンジ・ボウルやシエスタ・ボウルなど、ボウル・シリーズの他、これらの覇者の間で戦われるナショナル・チャンピンシップ・シリーズの放送権も手中にする。ちなみに、ESPNの視聴可能世帯数は現在約9,800軒。