米テレビへのわいせつ苦情が激減


米国のテレビやラジオ番組に登場するわいせつな表現や描写が大幅に減少している。米連邦通信委員会(FCC)がこのほど発表したところによると、2007年の7-9月期にFCCに寄せられた視聴者などからの苦情はわずか368件と、4-6月期の4,368件から減少、1-3月期149,457件から比べ激減した。同報告では激減した背景などについては言及していない。

米国におけるわいせつ描写への苦情は、2004年2月に開催されたアメリカン・フットボールの王者決定戦「スーパーボウル」の中継番組の中のハーフタイム・ショーで人気歌手ジャネット・ジャクソンさんの胸が露出したことをきっかけに急増。FCCがテレビ局に対し多額の罰金を課すなど、厳しい取り締まり姿勢に転じていた。しかし、こうしたFCCの姿勢に、憲法で保障されている「表現の自由」が奪われる恐れがあると危惧した番組制作者などから「当局による検閲ムードの高まり」を警戒する声が上がっていた。

ところで、苦情数が激減したからと言ってFCCとテレビ局の摩擦は解消する兆しはない。米Foxテレビは、FCCから課せられた罰金の支払いを拒否するなど対抗姿勢を崩していない。同社が2003年に放送したリアリティー番組「Married by America」の中に、出演者がストリッパーに叩かれたり、ホイップクリームを舐めたりするなどのシーンが登場、視聴者から苦情が殺到した。FCCがこのシーンがわいせつな描写に当たると判断、Foxに対し91,000㌦(約956万円)、同番組を放送した系列局にそれぞれ7,000㌦(約73万5,000円)、合計120万㌦(約1億2,600万円)の罰金を課していた。しかし、Fox側はFCCが規定したわいせつには当たらないほか、わいせつそのものの解釈が明確になっていないなどと反論、徹底抗戦の構えを崩していない。