米テレビ世帯のDVR普及率が急増へ

 米国で好きな番組を好きな時間に見る、いわゆるタイムシフト視聴の人気が今後も上昇カーブを描き続ける見込みだ。米メディア・サービス大手「マグナ・グローバル」がこのほど発表した調査結果によると、タイムシフト視聴に利用されるDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)の普及率が、16年には44%、5460万軒と急増する見込みだ。09年の普及率は、30%、3450万軒だった。


DVR視聴は、CMの飛ばし視聴が手軽にできることから、さらなる普及には広告主やテレビ局から懸念の声が上がりそうだが、マグナの予報家ブライアン・ワイザー氏によれば、16年までには人口も増え、通常のテレビ視聴がタイムシフト視聴のペースを上回るという。


DVRの普及は、衛星放送事業者やケーブルテレビ(CATV)事業者が、加入者に提供するセット・トップ・ボックス(STB)にDVR機能を内臓し始めてから加速し、DVRの元祖であるTiVo(ティボ)社のものを上回っているのが現状だ。衛星放送大手ディレクTVでは、昨年09年10-12月期の新規加入者の70%がDVR機能内臓型のSTBを契約したという。マグナでは衛星放送加入者全体の45.5%がDVR保有者と見ている。また、CATV最大手コムキャストでは09年同期に41万軒の新規加入があったが、ほとんどがDVR内臓型のSTBをオーダーした模様。マグナによれば、コムキャスト加入者全体の23%にあたる530万世帯がDVRを保有しているという。タイムシフト視聴のもう一方の手段であるオン・デマンド・サービスの普及率も09年には全体の41%、4730万世帯だったものが、16年には53%、6500万世帯にまで達するという。


DVR利用者は、ネットワークがプライムタイムで放送する人気番組のファンが多く、ABCネットワークの人気医療番組「グレイーズ・アナトミー(恋の解剖学)邦題」などはDVR視聴者が放送時の視聴者数の2割に迫るときもあるほど。こうした傾向に今では、広告主もDVR視聴率をある程度受け入れているのが現状だ。