米ニューズ社、65億㌦の赤字 他メディアも不調


世界のメディア王の異名をとるルパート・マードック氏が率いる米メディア王手ニューズ・コーポレーションはこのほど2008年10-12月期決算が純損益64億㌦(約5760億円)の赤字に転落したと発表した。グループ傘下の新聞部門を中心に総額84億㌦(約7560億円)の評価損を計上した。新聞部門の評価損は約30億㌦(約2700億円)と突出しているが、ニューヨーク・タイムズ紙は、「ダウ・ジョーンズ社の買収額が高すぎた」との業界アナリストの声を引用し、マードック氏が1年前に決行した買収が大きな要因になったことを指摘している。

新聞とともに、Foxネットワークを含む地上波テレビ部門も不調で、収益はCM収入の落ち込みがたたって、昨年同期2億4500万㌦(約220億円)だったものが、1800万㌦(約16億円)に急落した。テレビと並ぶ中核部門である映画部門の収益も、1億1200万㌦(約100億円)と、昨年同期の4億300万㌦(約363億円)から大きく落ちこんだ。マードック氏は社員に対し、「四半期の結果は、厳しい経済状況を直接反映したものだ。会社全般にわたって厳密なコスト削減を始めているが、人員削減もしなければならないだろう」と語った。明るい材料だったのは、「Foxニュース・チャンネル」を含む、ケーブル局部門。同部門の収益は4億2800万㌦(約385億円)と、昨年同期9100万㌦(約82億円)から大幅増益となった。

不調なのはニューズ・コーポレーションだけではない。ニューズに先立って発表されたタイム・ワーナーの2008年10-12月期決算は、映画部門やインターネット部門(AOL)の不振、さらには資産の評価損計上などで、純損益が160億3200万㌦(約1兆1730億円)の赤字。ウォルト・ディズニーの09年度第1四半期(10-12月)決算も、映画部門がヒット作に恵まれなかったことや、米国内テーマパークの不振が響き、純利益は32%減の8億4500万㌦(約761億円)となった。