米ニューズ社、CATVへの番組送信停止

 米ニューヨーク近郊に約300万世帯の顧客を抱えるケーブルテレビ(CATV)事業者、ケーブルビジョンから10月16日、Foxネットワークテレビの番組が突然写らなくなる異常事態が発生した。ブラックアウトは10月26日時点でも続いており、27日から始まる大リーグのワールドシリーズなどが見られなくなると加入者からは苦情が殺到している。ワールドシリーズはFoxネットワークが独占放送権を握っている。


Foxネットワークの親会社、米メディア企業ニューズ・コーポレーション(以下、ニューズ社)は、ケーブルビジョンに対し、傘下の放送局の再送信料の大幅値上げを要求。要求額が不当に高すぎるとするケーブルビジョンとの新契約交渉が決裂。10月16日以降、ニューズ社が番組送信を停止する強行手段に出た。交渉の中身などは一切公表されていないが、ニューズ社が1世帯当たり50㌣ほどの再送信料を求めている、という情報もある。


米国では広告収入の減少に苦戦するメディア企業が、放送外収入の有効な手段として、CATVや衛星放送などからの再送信料の値上げを求める動きが拡大している。値上げに応じないCATV事業者などには、番組配信停止で対抗しているが、ケーブルビジョンだけも、過去10ヶ月間に、様々なメディア企業から6度も番組送信を停止されるといった具合だ。
米連邦通信委員会(FCC)は、両社に対し速やかに話し合いで解決するよう呼びかけているが、直接介入には消極的だ。しかし、番組送信が今後も頻繁に停止されれば社会に及ぼす影響も少なからぬものがあるとし、連邦議会では、再送信を取り締まる法律を制定すべきだとする意見も浮上している。


一方、ニューズ/ケーブルビジョン両社は連日のようにお互いを非難する広告合戦を展開。新聞社やラジオ局に思わぬ広告収入をもたらしているほか、Fox系列以外のローカル局には、「ブラックアウトが長引けば自局に視聴者を呼び込む絶好のチャンス」を提供している。