米ネットワーク編成はリアリティー頼り?


米テレビ界ですっかり定着した感のあるリアリティー番組だが、今夏は例年にないリアリティー番組ラッシュになりそうだ。組合に所属している俳優や脚本家がストライキに突入する構えを見せていることもあり、ネットワーク側が積極的にリアリティー番組の採用に踏み切る模様。同カテゴリー番組は、俳優や脚本家などを使わないため、制作費がドラマ番組などに比べ格段に安く、ネットワークにとって魅力的な番組となっている。

中にはドラマ並みの視聴率を獲得してくれる番組も少なくなく、全ネットワークがプライムタイムにリアリティー番組を編成しているのが現状だ。今や米テレビ界人気ナンバーワン番組となったFoxネットワークの「アメリカン・アイドル」は同カテゴリーの代表番組だ。

ABCネットワークでは5月18日にゲーム番組「Bingo Night in America」をスタートさせるほか、今夏、合計9本のリアリティー番組を立ち上げる予定。CBSネットワークでは5本のリアリティー番組のパイロット版をオーダーした。NBCでもサッカーのスーパースター、ベッカム選手の妻で元スパイス・ガールのメンバー、ビクトリア・ベッカムさんの米国移住をテーマにしたリアリティー番組の放送が決まっており、今夏以降、全ネットワークで放送されるリアリティー番組の合計本数は昨年比10%増にあたる56本となりそうだ。

米テレビ界の番組編成傾向などの調査にあたるリサーチ会社「TV Tracker」の副社長キャロライン・フィンガー氏は、「リアリティー番組はいま絶好調。今シーズンのナンバー1番組が『アメリカン・アイドル』に続き、ナンバー2にはABCの『Dancing with the Stars』がランクされているほどだ。ここ数年不調に陥っているかつてのプライムタイム王者NBCもゲーム番組『Deal or No Deal』が大当たり。同ネットワーク復活の原動力になっている」と語っている。

リアリティー偏重に視聴者がどう反応するかどうか見ものだが、費用対効果を含め、ネットワークのリアリティー熱は当面下がりそうに無い。