米ビッグ3不振がメディア界直撃


米国では経営危機に陥っている自動車産業を、公的資金を使って救済すべきかどうかをめぐり連日のように議論が戦わされている。米自動車メーカー大手3社(ビッグ3)を代表してゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)が連邦議会に対し、同業界が救済されなければ米経済に「破局的」な影響が出ると警告する場面などがテレビ番組などで大きく取り上げられた。そんな中、米広告業界誌「アドバタイジング・エイジ」がこのほど、自動車業界の米メディア業界における影響力などについて様々なデータを発表した。同調査は米調査会社「TNSメディア・インテリジェンス」のデータをもとに同誌が様々な角度から分析したもの。

それによると、2007年にビッグ3が米総広告費に占めた割合は3.3%。総額46億㌦(約4,420億円)と巨額に上ることが明らかになった。また、ビッグ3は広告代理店にとっても重要なスポンサーで、オムニコム・グループやWPPグループなど、世界のトップ4に挙げられている広告会社の売上げの6%を占めていたことも分かった。その他、米4大ネットワークテレビ(ABC、CBS、NBC、Fox)のCM売上げの5.9%がビッグ3によるもの。中でもFoxにとってはビッグ3が全体の9.2%を占めるほどの存在だ。また、有力ケーブル局の筆頭に挙げられるスポーツ専門局ESPNは、広告収入の6.8%をビッグ3に依存しているという。

雑誌業界広告費への出稿量も少なくなく、ビッグ3の割合は2.8%。常に広告売上げトップ5入りしているスポーツ・イラストレーテッド誌の場合は、その割合が8.0%にも及ぶという。アドバタイジング・エイジ誌は、全米広告主協会(ANA)のボブ・ライオダイス会長の発言を引用し、「ビッグ3が倒産することにでもなれば、あらゆるメディア企業ばかりか広告代理店にも大きな影響を及ぼすことは間違いない」と警告している。