米メディア企業などが視聴率測定に参入


米視聴率調査を独占するニールセンに対抗勢力が現れた。米メディア企業や大手代理店など14社が共同で設立した「Coalition for Innovative Media Measurement(CIMM)」がそれ。ケーブルテレビ加入世帯などに設置されているセット・トップ・ボックス(STB)を利用した視聴測定と、HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の詳細な視聴測定などに当たる。インターネットで配信される番組の視聴状況も対象になるという。


CIMMのメンバー会社の一つ、NBCユニバーサルのリサーチ部門担当のアラン・ウァーツェル社長は、業界誌メディアウィークなど複数のメディアに対し、「CIMM設立の目的はニールセンに対抗するものではない」と述べているが、「業界内には、ニールセンの視聴測定方法に不満がたまっている」と指摘する声が支配的だ。ウァーツェル氏は、今年6月、「テレビ番組が、様々なプラットフォームで視聴されるようになっているが、その様子が正確なデータとして上がっていない。業界が一致して何らかの新しい測定方法を構築する必要がある」などと、ニールセンの測定方法に不満をもらしていた。


しかし、CIMMの具体的な運営方法などについては、何も決まっておらず、構想だけで終わってしまう恐れを指摘する向きもあるようだ。いずれにしても、ニールセンが視聴率測定から得る年間売上は、6億㌦(約570億円)にも上るといわれ、CIMMの成り行きに戦々恐々といったところ。


CIMMのメンバーには、タイムワーナー、ニューズ・コーポレーション、バイアコムなどのメディア企業や、インターパブリックなどの広告代理店、さらにはプロクター&ギャンブルなど広告主などが名を連ねているが、いずれもニールセンの重要なクライアントばかり。