米メディア大手が新動画サイト構築で連合


米メディア企業大手「NBCユニバーサル」と「ニューズ・コーポレーション」は3月22日、今夏を目標に動画共用サイトを共同で立ち上げると発表した。爆発的な人気を博しているユーチューブ(YouTube)に対抗するためで、「ニューズ」傘下Foxネットワークのプライムタイム番組「24」や「ザ・シンプソンズ」、NBCネットワークの「ヒーローズ」など、米テレビ界を代表する人気番組を全編無料で提供する。

同サイトの運営は広告収入で賄われるが、すでにゼネラル・モータース(GM)、大手炭酸飲料水メーカー「キャドバリー・シュウェッピ」社、豪華客船「ロイヤル・キャリビアン」などがスポンサーに名乗りを上げている模様。

ユーチューブは、もともとアマチュア・ビデオの投稿サイトとして始まったが、今や部分的に抜粋されて投稿されるネットワーク番組が同サイトを支える重要なコンテンツの一つになっている。無許可で配信される番組数は増えるばかり、メディア企業の危機感が募っている。「コメディー・セントラル」など人気ケーブル局を配下に置くバイアコムは今月上旬、同社の番組を無許可で掲載され10億㌦相当の被害を蒙ったとしてユーチューブを提訴したばかり。

同サイト設立の動きについて、米投資情報会社スタンダード&プアーズ社のメディア・アナリスト、ツナー・アンボ氏は、「設立後わずか2年のニューメディアが、既存メディアの大手が連合して対抗するほどの勢力になった」などと分析しているが、NBCユニバーサルの最高経営責任者ジェフ・ザッカー氏は、「その捕らえ方には全く反対。我々の目的は、消費者そして広告主が注目し始めた新しい市場(オンライン・ビデオ)を有効に活用することだ」と反論している。

新サイトは、ヤフーやマイクロソフト、さらにはAOLなどのインターネット大手とも提携、これらのサイトからも自由にアクセス出来るようになるという。ニューズ・コーポレーションのピーター・チャーニン社長は、「インターネット・ビデオ業界の勢力図を大きく塗り替えることになる」と述べている。

また新サイトでは、両社傘下の映画会社「20世紀フォックス」などが制作・配給する映画なども配信する予定で、アカデミー賞受賞作「リトル・ミス・サンシャイン」や「ボラット」などの人気映画をVOD(ビデオ・オン・ディマンド)販売する予定。サイト名などは決まっていない。